『一流シェフのファミリーレストラン』感想とレビュー。エミー賞総ナメも納得の傑作ドラマ。

ディズニープラスにはたくさんの高クオリティのオリジナルドラマが配信されていますが、私が最近特にハマったのが『一流シェフのファミリーレストラン』です。

なんか子供っぽい邦題なため、食わず嫌いして見ていなかったドラマですが、最新シーズンが更新される度にエミー賞を受賞しておりいよいよ気になって見てみました。

画像引用:IMDb.com

普段私はSFやホラー映画が好きなので、こういう系は退屈かもしれないと思っていたのですが、これがまた最高に面白い!!

どんなところが面白いか感想とレビューを書いていきます。

目次

全然ほっこり系じゃない!魂がぶつかり合う群像劇だ

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リード文にも書きましたが、『一流シェフのファミリーレストラン』という邦題が本当に邪魔していて、配信がディズニープラスというのもあり、なんとなく『レミーのおいしいレストラン』っぽい感じがしますよね。

しかし、安心してください。

全く子ども向けではない、大人と大人が常にぶつかり合い罵りあう過激派ドラマです。

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このドラマは主人公カーミーが働くレストランで繰り広げられる群像劇です。

様々な個性あふれるキャラクターが登場しますが、みんな気が強い

気が強いし口が悪い。会話劇といえば聞こえが良いですが、これはほとんど口喧嘩だろう。

でも飲食店の厨房ってほんとこんな感じだよな、って経験者は思い出すようなそんなリアルな描写です。

ほっこり系とは真逆で、どちらかというとスポ根のジャンルに近いようなそんな作品です。

シーズンごとに異なるテーマ

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一流シェフのファミリーレストランは現在シーズン3まで配信されています。

1シーズンで1つのセンテンスが完結するような構成になっており、1話あたりは約30分と非常にサクサク見れてしまうのも魅力的です。

シーズン1は、高級レストランのシェフが大衆のサンドイッチ屋を継いで奮闘する話。

シーズン2は、サンドイッチ屋を改装して新しい高級レストランをオープンさせるまでの話。

シーズン3は、新しいレストランで頑張る話。

私はこの中でもシーズン1が一番好きでした。

続編が決定しているシーズン4ではおそらく、新しいレストランでミシュラン星を獲得するまでの話が描かれるのではないかと思います。

『一流シェフのファミリーレストラン』の見どころ

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シーズン1では全然だめだめなサンドイッチ屋(THE BEEF)のメンバーを、シェフの「カーミー」、スーシェフとして新しく雇われた「シドニー」とともに叩き上げていくような物語。

古い慣習を嫌がる「ティナ」や、口が悪い上に仕事も適当な「リッチー」など、個性爆発の従業員たちは1話目なんかは特に全然だめ。

こいつら本当どうしようもないな…みたいなシーンばかりなのです。

「え、このドラマなんかイライラするししんどいだけかも…」1話目だけをみた多くの人は感じるかもしれません。

主人公のカーミーの目線から見てだめすぎる従業員たち、とそう感じるように作られているのかもしれません。

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しかし、2話目以降では全然だめに見えた従業員一人一人に少しずつスポットが当たるようになり「あ、こいつも頑張ってるんやな…」とキャラに愛着が湧いてくるようになります。

そこまで来たらもうこのドラマの世界にドハマりです。

個性的な登場人物たち

このドラマは料理がコンセプトですが、どちらかと言うと人間ドラマに重きをおいた作品になっています。

THE BEEFで働く個性的な従業員たちがとてもいいキャラです。

そしてそれを演じる役者陣が皆素晴らしい。

ドラマのアカデミー賞と言われるエミー賞で、シーズンが更新されるたびに主演・助演の賞をこのドラマでほぼ独占するほどであり、そしてそれも超納得の素晴らしさなのです。

カーミー(ジェレミー・アレン・ホワイト)

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特に主人公のカーミー(ジェレミー・アレン・ホワイト)がめちゃくちゃハマり役。

借金を抱えた新しい店でシェフをすることへの責任感、焦り、苛立ち、それらをすべて無言の表情で表す天才的な演技で見せてくれます。

そうそう、こういうときってベラベラ喋らないであえて無言だよなとか。そこにある間とか空気を支配している感じ。

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頭を抱える演技が世界一似合う人ではないでしょうか。

もう本当にカーミーという人間がいるとしか思えないほどハマり役です。

2023年、2024年のエミー賞で主演男優賞を2年連続で受賞しています。

リッチー(エボン・モス・バクラック)

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カーミーの兄マイケルの親友のリッチー。筆者が一番好きなキャラクターです。

彼もTHE BEEFで働く従業員。最初は本当に何をやらせても文句や愚痴ばかり。レストランでも放送禁止用語を発しまくるとんでもない奴として描かれます。

しかしシーズン1の最終盤あたりでやっといい奴の片鱗を見せてきてくれ、崩れ去った関係性が少しほぐれていきます。

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そしてシーズン2ではあることをきっかけに、今まででは考えられないくらいの成長を遂げる、最も愛嬌のあるキャラクターです。

2023年、2024年のエミー賞で助演男優賞を2年連続で受賞しています。

ティナ(ライザ・コロン・ザヤス)

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最初は彼女もリッチー同様、いや〜な古株の従業員として描かれます。最初は「うぜーなこいつ」って誰もが思います。

しかし本当はめちゃくちゃいい人。そして徐々に新しいものを受け入れていき、途中からはメンバーに欠かせない存在になっていきます。

シーズン1のラスト、シドニーとの会話のシーンは感動と恥ずかしながら嬉し涙を流さずにいられませんでした。

またシーズン2のカラオケのシーンも超名シーン!彼女も良い役者ですね。

2024年のエミー賞で助演女優賞を受賞しています。

シドニー(アヨ・エディバリ)

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唯一と言っていいほどのまともな従業員がスーシェフ(副料理長)のシドニーです。

彼女はTHE BEEFの元々の従業員ではなく、カーミーが新しくシェフとなったのを聞きつけてTHE BEEFにやってきた新しい従業員です。

そしていきなりスーシェフに抜擢されるのですが、まだ若い彼女はあたふたして失敗することもたくさん

さらに新人のスーシェフとして全く相手にされなかったり、新しい料理を考案するもカーミーに見向きもされなかったり。

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しかし、やっぱり一番視聴者に近いというかまともな思考なのがシドニーです。逃げてしまうこともあるが、とにかく頑張りやで気が強くて応援したくなる役です。

2023年のエミー賞で助演女優賞を受賞しています。

『一流シェフのファミリーレストラン』で好きなシーン

【シーズン1】第7話:超長回し料理シーン

このドラマは料理のシーンがとんでもなくクオリティが高く面白い

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そして、圧巻なのがシーズン1の7話目。1話分まるごと、なんとワンカットで厨房のシーンが映されます。

これが本当にすごい。料理版『マッドマックス 怒りのデスロード』みたいな感じで、怒涛の映像に圧倒されます。

しかし、これはあることが理由で何もかもが全然だめな日の厨房です。

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怒号や放送禁止用語が飛び交い、シドニーやデザート担当のマーカス達はあまりの惨状に店を出ていってしまうほど。

見終わったあとはどっと疲れてしまい、ここからどうすんだ?と自分の出来事のように感じてしまいます。

【シーズン2】第7話:リッチーの修行

THE BEEFでは何をやっても中途半端な役割に感じていたリッチーは、シーズン2でなんと修行に出向きます。

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と言ってもカーミーに言われて渋々向かうことになるのですが、修行先はなんとカーミーが以前働いていた最高級レストラン。

最初は相変わらずのリッチーで文句ばかり言っているのですが、最高級レストラン(「エヴァー」という店名)のおもてなし精神を体験したり、新たな出会いを経験することで徐々に心が入れ替わり、覚醒します。

「エヴァー」のオーナーである、テリー(オリヴィア・コールマン)とリッチーの静かで短い会話は凄まじいほどの名場面。

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リッチーが修行をするシーズン2第7話は、シリーズ屈指の傑作回です。

【シーズン3】第6話:ティナの過去

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THE BEEFの古株従業員の一人であり、みんなの良き理解者であるティナ

彼女がなぜTHE BEEFで働くようになったのかを回想するエピソードです。

仕事を失職してしまい、新しい職を探す毎日。しかし、中々うまくいかず心身疲れ果てる毎日。

これでもかと心を折られる出来事があり、その足で入店したTHE BEEFという店。

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当時のオーナーシェフであり、カーミーの兄マイケルとティナの会話シーンはお得意の長回し。

二人共素晴らしい演技。見てるこちらは自然と涙が溢れてきます。

そして、なんとこの回の監督はシドニー役のアヨ・エデビリだそうです。

シーズン3第6話は監督の愛が画面からあふれるような、そんな傑作エピソードです。

『一流シェフのファミリーレストラン』はBGMが最高

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このドラマはBGMの選曲とタイミングが本当に神がかっています。

そして個人的な感想ですが、ディズニープラスのドラマは音質がめちゃくちゃ良い(ような気がする)。

シーズン1のラストシーン、ネタバレは控えますがみんなで一斉にトマト缶を空けるというシーンがあります。

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これはシーズン1を象徴するようなシーンなのですが、今までの地獄のように壮絶だった時間や空気もすべて忘れさせてくれるような爽快感が生まれるそれはそれは超名シーン

そのタイミングで憎らしいほどにかっこよく流れてくるのが、Radioheadの「Let Down」。

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この最高に熱いシーンを最高に色づけてくれるような、メロウで甘いメロディ。

このまま曲が流れて最高のラストシーンを迎えるのですが、ここが気持ち良すぎる。家の中でスタンディングオベーションでもしたくなります。

シーズン3最終話のweezerスマッシング・パンプキンズなど、最高のタイミングで最高の曲が流れてくるシーンが多く、毎回鳥肌ものです。

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